【特定技能・介護分野】
訪問系サービスが解禁
※一定の条件あり
介護分野における特定技能外国人が、訪問系サービスをすることに関する告示・通知等が改正され、令和7(2025)年4月21日に施行されました。
これにより、一定の条件の下で特定技能外国人の方も訪問系サービスを行うことができるようになりました。
技能実習生も、すでに4月1日から可能となっており、新制度の育成就労制度でも、一定の条件の下で訪問系サービスへの従事を認めるべきとされています。
改正の概要
対象となる特定技能外国人・介護人材と主な要件
以下の要件を満たす特定技能外国人について、訪問介護等の訪問系サービスの業務に従事が認められます。
- 研修の修了: 介護職員初任者研修課程等を修了していること。
- 実務経験: 介護事業所等での実務経験が原則として1年以上あること。
■N2相当など、高いレベルでの日本語能力を有する場合に限定
■同行訪問については、利用者ごとに行うこと
※利用者ごとの厳格な同行訪問
担当する利用者一人ひとりに対して、以下の期間、責任者等の同行訪問が必須となります。
週1回訪問の利用者:原則 6ヶ月間
週2回訪問の利用者:3ヶ月間
週3回以上訪問の利用者:2ヶ月間
- 信頼関係構築等のため、最低でも2ヶ月間の同行訪問が必要です。これ以上の短縮は認められません。
- 【週1回訪問の短縮措置】 週1回訪問の場合に限り、「利用者・家族の同意」があり、かつ「見守りカメラ等ICT活用で常時連絡体制が確保できる」場合に、同行期間を3ヶ月間に短縮できます。
- 上記は最低期間であり、個々の状況に応じて、一人で適切にサービス提供できると判断できるまで、受入事業者は必要な期間、同行訪問を行う必要があります。
受入事業所の遵守事項
外国人介護人材に訪問系サービスを従事させる場合、受入事業所は以下の①~⑤の事項を遵守する必要があります。また、事前に利用者・家族への十分な説明を行うことが求められます。
- 研修の実施: 訪問介護等の業務の基本事項等に関する研修を行うこと。
- OJT(同行等)の実施: 業務開始にあたり、一定期間、責任者等が同行するなど必要な訓練を行うこと。
- キャリアアップ計画の作成: 訪問介護等における業務の内容等について丁寧に説明を行い、本人の意向を確認しつつ、キャリアアップ計画を作成すること。
- ハラスメント対策: 相談窓口の設置等、ハラスメント防止のための必要な措置を講じること。
- 緊急時対応体制の整備: 不測の事態が発生した場合等に適切な対応ができるよう、情報通信技術(ICT)の活用を含めた必要な環境整備を行うこと。



①~⑤について、詳しくは以下に記載してあります。
①研修の実施
受入事業所において、以下の内容を含む研修を行うことが必要となります。
- 訪問系サービスの基本事項や生活支援技術などの利用者の居宅において実施する事項
- 利用者・家族・近隣とのコミュニケーション(傾聴、受容、共感などのコミュニケーションスキルを含む)
- 日本の生活様式
- 緊急時の連絡方法や連絡先を事前に確認する等、利用者の居宅において不測の事態が起こった際に適切に対応できるような緊急時を想定した研修
②OJT(同行等)の実施
利用者やその家族と信頼を醸成し、加えて居住環境等といった周辺環境も含めた利用者の特性に応じたサービス提供を行うため、外国人介護人材が訪問系サービスの提供を一人で適切に行うことができるように、サービス提供責任者や利用者を担当している先輩職員などが同行するなど必要なOJTを行うこと。
③キャリアアップ計画の作成
- あらかじめ従事させる業務の内容や注意事項等について丁寧な説明を行い、その意向を確認すること。
- 本人と十分にコミュニケーションをとった上で、当該外国人介護人材が習得すべき技能や目指すべき姿を明確にしたキャリアパスを構築するとともに、そのキャリアパスの実現に向けた計画的な取組が必要であることから、キャリアアップ計画を当該外国人介護人材と共同して策定すること。
- 策定したキャリアアップ計画については、本人の意向、日本語能力修得目標などを含む自らの目指すべき姿や、事業者による支援計画を含め実現に向けたステップへの理解を促すため、当該外国人介護人材とも共有すること。
④ハラスメント対策
- ハラスメントを未然に防止するための対応マニュアルの作成・共有、管理者等の役割の明確化、ハラスメントが発生した場合の対処方法等のルールの作成・共有、利用者やその家族等に対する周知
- ハラスメントが実際に起こった場合の対応として、当該ルールの実行、外国人介護人材が相談できる窓口の設置やその周知
⑤緊急時対応体制の整備
- 緊急時の連絡先や対応フローなどをまとめたマニュアルの作成
- 『①研修の実施』で記載した緊急時を想定した研修の実施
- 緊急時に他の職員が駆けつけられる体制の確保
- サービス提供記録や申し送りについて職員全員で情報共有する仕組みの整備
上記の対応においては、業務の負担軽減や、利用者の居宅において不測の事態が起こった際に適切に対応できるようにする観点から、コミュニケーションアプリの導入など、ICTの活用が考えられること。
受入事業所の配慮事項(訪問先・外国人材)



受入事業所は、訪問先や外国人材に対して、以下の配慮が求められています。
訪問先の選定について
外国人介護人材が担当する訪問先は、以下の点を総合的に考慮し、サービス提供責任者の意見を十分に聞いた上で、受入事業者が判断する必要があります。
考慮すべき事項
- 利用者様の状態: 健康状態、ADL(日常生活動作)、認知症の日常生活自立度、住環境など
- 利用者様・ご家族の意向: 事前に丁寧に確認します。
- 外国人介護人材の状況: コミュニケーション能力、介護技術の習熟度、本人の意向など
記録の保持:
- なぜその訪問先を選定したのか、判断の経緯を受入事業者内で記録として残します。
個々の状況に応じたOJT(実地研修)とサポート体制について
外国人介護人材一人ひとりの経験や能力に合わせて、丁寧なOJTやサポートを行うことが重要です。
同行訪問期間中の配慮
- 指導と確認: 責任者等が同行し、必要な指導を行うと共に、利用者様やご家族の意向を改めて確認します。
- 適合性の判断: 同行訪問を通じて、外国人介護人材が適切な支援を提供できるか、利用者様と良好な関係を築けるかなどを評価し、その利用者様の担当を継続するかどうかを判断します。
継続的なOJTとサポート
- 柔軟なOJT計画: 実務経験や能力に応じて、OJT期間を通常より長く設定するなど、徐々に業務に慣れることができるよう配慮します。
- 日本語学習支援: コミュニケーションが円滑に進むよう、きめ細やかな日本語学習のサポートを行います。特に語学力に応じた手厚い支援が求められます。
- 丁寧なフィードバック: 訪問系サービスの開始当初は特に、事業所に戻った後の指導や面談の機会を多く設け、業務の振り返りやアドバイスを行います。
これらの配慮を通じて、外国人介護人材が安心して訪問系サービスに従事でき、利用者様も質の高いサービスを受けられる体制を整えることが求められています。
まとめ
訪問介護などの人材不足の状況などを踏まえて、特定技能や技能実習の外国人材も、一定の条件の下で訪問系サービスへの従事が認められるようになりました。
本改正は、以下の日付で施行されました。
特定技能: 令和7年4月21日
技能実習: 令和7年4月1日
受入事業所の遵守事項(①から⑤)を適切に履行できる体制・計画を有していることを示すため、事前に巡回訪問等実施機関に対して「訪問系サービスの要件に係る報告書」等の必要書類を提出する必要があります。
記事の中にある条件の体制を整え、少しでも人材不足の解消の一歩となることを願います。
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出典:ホーム|厚生労働省